あの目の輝きに惹かれた。なのに、気づけば俺は「邪魔者」だった
絵を描いてる時の横顔。音楽に没頭してる時の、周りが見えなくなったような表情。何かを生み出している瞬間の彼女には、他の誰にもない引力がある。
(この人の見てる世界、覗いてみたいな…)
そう思って近づいた。
――でも、ここからが本当の始まりだったんだよね。
「既読スルー3日目」「デート当日ドタキャン」「会いに行ったら”邪魔しないで”の一言」。
芸術家タイプの彼女と付き合ったことがある男なら、この地獄のような孤独感、分かるんじゃないかな。
俺自身、創作系の仕事をしている女性と付き合った経験がある。あの時抱えてたモヤモヤを、今日は全部さらけ出してみたい。そして、同じ悩みを持つあなたに「こうすればよかったんだ」って答えを渡せたらと思ってる。
そもそも「芸術家タイプの女性」って何が違うのか
まず前提として知っておいてほしいことがある。
彼女たちにとって、創作は趣味じゃない。仕事でもない。もっと根源的な、呼吸みたいなもの。
街を歩けば構図を探してる。人と話しながらも、頭の片隅でメロディが鳴ってる。日常のすべてが素材で、それを形にしないと窒息してしまう。そういう生き物なんだよね。
以前、画家をしている知人の女性がこんなことを言ってた。「光の角度、影の落ち方、色の重なり。全部が作品の一部に見えちゃうの。スイッチなんてない。常にオンなの」
…正直、最初は「かっこいいこと言うな」くらいにしか思ってなかった。でも実際に付き合ってみて、あぁこれは本当だったんだ、と骨身に染みることになる。
俺の失敗談――「普通の彼氏」をやろうとして全部裏目に出た話
俺が付き合ってた彼女は、フリーでイラストの仕事をしてた。
最初の数ヶ月は最高だった。彼女と一緒にいると、見慣れた街の景色がまるで違って見える。カフェの窓から差す光、古いビルの壁の質感。「ここ、いい色してるね」って彼女が呟くたびに、俺の世界が少しずつ広がっていく感覚。あの時間は本当に特別だった。
ところが。
締め切りが近づいた途端、彼女が消えた。
LINEの既読がつかない。1日、2日、3日…。電話も出ない。
(え、何かあった? 怒らせたか? いや、思い当たることないぞ…)
胃の奥がキリキリする。スマホの画面を何十回も確認して、そのたびに通知ゼロの画面を見て、ため息。
4日目、我慢できなくなって彼女の家に行った。
インターホンを押す。返事なし。もう一回。かすかに物音がして、ドアが薄く開いた。
…目の下にクマ。髪はぐちゃぐちゃ。ペンタブのインクが手についたまま。部屋の中はコンビニの袋と空のペットボトルだらけ。
「ご飯ちゃんと食べてる? 心配したんだけど…」
俺がそう言った瞬間、彼女の目がギラッと光った。
「今、集中してるから。お願いだから帰って」
ドアが、バタンと閉まった。
…あの音、今でも耳に残ってる。
マンションの廊下で一人、立ち尽くした。手が震えてたのは寒さのせいじゃない。
(俺、邪魔者じゃん。彼女にとって俺の存在って何なんだ…)
「恋人なら普通こうだろ」が通用しない世界
あの日から、俺の頭の中はぐるぐると同じ問いが回り続けてた。
毎日連絡取り合うのが普通じゃないの? 心配させない程度の返信くらい、30秒でできるだろ? 俺より絵の方が大事ってこと?
…全部、「俺の常識」でしかなかったんだよね。
でもあの時はそれに気づけなかった。「普通の彼氏」として正しいことをしてるつもりだったから。心配して会いに行くのも、連絡がほしいと伝えるのも、愛情表現のつもりだった。
なのに彼女からすれば、それは全部「創作を邪魔する圧力」でしかなかった。
この認識のズレ、マジで致命的だった。
転機になった、ある友人の一言
悶々としてた時期に、彼女と共通の友人(同じくクリエイター)に愚痴をこぼしたことがある。
「彼女さ、連絡全然くれないんだよ。俺のこと好きなのかすら分かんなくなってきた」
すると友人は、コーヒーカップを置いて、まっすぐ俺を見てこう言った。
「創作してる時の彼女にとって、世界にはキャンバスしか存在しないんだよ。君を忘れてるんじゃない。君を含めた世界の全部が、一時的に消えてるだけ。それを”愛されてない”って解釈するのは、ちょっと違うと思う」
…グサッときた。
頭では分かる。でも心が追いつかない。「じゃあ俺はどうすりゃいいんだよ」って、喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
ただ、この一言が小さな種になったのは間違いない。
感情のジェットコースター、これもセットだと知った夜
芸術家タイプの彼女と付き合って、もう一つ面食らったのが感情の振れ幅。
ある日のデートの帰り道、夕焼けを見た彼女が突然涙ぐんだ。
「え、どうした!?」って焦ったら、「この色が綺麗すぎて…」って。
はぁ…? ってなるよね(笑)
かと思えば、別の日。俺が何気なく「その絵、前の作品と似てるね」って言っただけで、ピシャリと空気が凍った。彼女の顔から一瞬で表情が消えて、そのまま2時間口をきいてもらえなかった。
(いや、褒めたつもりだったんだけど…?)
さっきまで子供みたいに笑ってたのに、急にシャッターが下りる。その落差に、心がついていけない夜が何度もあった。
でもこれ、彼女がわざとやってるわけじゃないんだよね。
感受性のボリュームが常にMAXなんだ。だから些細なことで深く感動するし、些細なことで深く傷つく。それが彼女たちの創作エネルギーの源泉でもある。
ある作家の女性が残した言葉が忘れられない。「この感受性は私の武器であり、呪いでもある」――まさにそれ。その「呪い」の部分を、一番近くで受け止める覚悟があるかどうか。それが試される。
俺がやった「大失敗」と「唯一うまくいったこと」
正直に白状する。
彼女の感情の波に振り回されて、俺は最悪の対応をしてしまったことがある。
創作に没頭して3日音信不通→心配してLINE連打→やっと返事が来たと思ったら「ごめん、作業してた」の一言→俺ブチギレ。
「ちょっとくらい連絡できるでしょ? 俺がどんだけ心配したか分かってる?」
…送った瞬間、後悔した。でももう遅い。
彼女からの返信は、しばらく来なかった。来た時には短く一言。
「私を変えようとしないで」
胸の奥がズキンとした。この一文が、全てを物語ってた。
俺は彼女を「普通の恋人」に矯正しようとしてたんだ。悪気はなかった。でも結果的に、彼女の一番大切な部分を否定してた。
唯一うまくいったのは、「手放した」時だった
あの失敗から、俺は少しずつやり方を変えた。
連絡が途絶えても追わない。会えない時間は、自分の趣味に没頭する。彼女が創作から戻ってきたら、責めずに「お疲れ。頑張ったね」とだけ伝える。
これ、最初はめちゃくちゃキツかった。放置されてる感覚は変わらないし、不安は消えない。でもグッと堪えた。
ある時、彼女が2週間ぶりに連絡をくれた。「新しい作品できた。見てほしい」って。
俺は何も聞かずに会いに行った。作品を見て、素直に感想を伝えた。技術的なことは分からないから、「この部分、すごく目を引かれた」「ここの色合いを見た時、胸がザワッとした」って、自分が感じたままの言葉で。
彼女がパッと顔を上げた。目がキラキラしてた。
「…あなたが一番、私の絵を”感じて”くれる」
その一言を聞いた時、鼻の奥がツンとして、思わず横を向いた。
(あ、認めてもらえたんだ…)
分かったのは、彼女が求めてたのは「毎日LINE返してくれる彼氏」じゃなくて、「自分の世界を否定しない、むしろ一緒に感じてくれる存在」だったってこと。
別の男性の成功事例――ドタキャンを受け入れたら、彼女が泣いた話
俺の友人にも、似た経験をした男がいる。
彼の彼女はフリーのミュージシャン。自由奔放で、予定なんて風に吹かれた葉っぱみたいなもの。「明日会おう」と約束しても、当日の朝に「ごめん、スタジオ空いたから録音する!」って連絡が来る。日常茶飯事。
極めつけは、二人で計画した旅行。宿も取った。ルートも決めた。出発3日前。
彼女から一本の電話。
「ごめん…急に曲が降りてきて、山に籠もりたい。旅行、なしにして…」
…普通、キレるよね?
でも彼は、深呼吸を一つして、こう返したらしい。「分かった。気をつけてな。何かあったら連絡して」
電話を切った後、テーブルに突っ伏したって言ってた(笑)。そりゃそうだろ。
ただ、彼がすごかったのはここからで。キャンセルになった時間を使って、彼女が好きなアーティストの展覧会に一人で行ったんだ。彼女がインスピレーションを受けそうな作品の写真を撮って、関連する資料も集めて。
数日後、山から戻ってきた彼女にそれを渡した。
彼女の目から、ぽろぽろと涙がこぼれたそうだ。
「怒らないでくれたことも嬉しかった。でもそれ以上に、私のために時間を使ってくれたのが…」
最後まで言えなかったらしい。彼女はそのまま彼にしがみついて、しばらく動かなかった。
あの日を境に、二人の関係は明らかに変わったと彼は言ってた。彼女が自分から「今日は一緒にいたい」って言ってくれるようになった。創作中でもたまに「元気にしてる?」ってメッセージが届くようになった。
手放したからこそ、相手が自分の意思で戻ってきてくれた。束縛じゃ絶対に手に入らなかったものが、そこにはあった。
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